臨床研究

ヒルシュスプルング病およびその類縁疾患の病理組織学的特徴の後ろ向き検討

1.臨床研究について
 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院小児外科では、現在、ヒルシュスプルング病およびその類縁疾患の患者さんを対象として、ヒルシュスプルング病およびその類縁疾患の病理組織学的特徴に関する「臨床研究」を行っています。
 
今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、令和7年5月31日までです。
2.研究の目的や意義について
 ヒルシュスプルング病(H病)/ヒルシュスプルング病類縁疾患(H類縁)は肛門から連続性に腸管の神経節細胞が欠如した先天性疾患で、新生児期から小児期まで急性の腸閉塞や重症便秘として発症します。H病/H病類縁の診断ならびに治療方法については、ある程度は決まっており、顕微鏡による診断(病理学的診断)が重要であります。しかし、その診断基準はいまだ国内・国外いずれも各施設において統一されていないという現状があります。H病/H病類縁は発生頻度が比較的低い疾患であるため、診断が困難である恐れもあります。このため、多施設の経験症例を集計することによって、H病/H病類縁の病理診断を検討し、今後の診断成績向上につなげることが望ましいと考えます。この研究の目的は、H病およびH類縁についての病理学的診断の状況を明らかにし、この病気の患者さんの治療成績とQOLを向上させるために診断の新規情報を得ることです。この研究でられる事実は患者さんに提供する貴重な情報となると考えています。
3.研究の対象者について
 1986年1月1日から2020年5月31日までの期間において、当科(九州大学病院小児外科)もしくは国内外の施設において行われた通常診療の中でヒルシュスプルング病もしくはヒルシュスプルング病類縁疾患が疑われ組織採取が行われた方の中で、得られた病理検体のプレパラートが作成され、当科に診断依頼があった症例(約1300人)を対象にします。
4.研究の方法について
 この研究を行う際は、カルテや他院からの情報提供書より匿名化されたうえで、以下の情報を取得します。
 〔取得する情報〕
  年齢、性別、身長、体重、必要に応じ血液検査結果、
  画像検査結果(レントゲン、消化管造影、CT)
  手術記録
  小腸や大腸の病理検体のプレパラートの画像
  病理組織学診断結果
5.個人情報の取扱いについて 
 研究対象者のプレパラートの画像や診療情報をこの研究に使用する際には、容易に研究対象者が特定できる情報を削除して取り扱います。この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学・教授・加藤 聖子の責任の下、厳重な管理を行います。
6.試料や情報の保管等について 
〔情報について〕
 この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院 小児外科学分野において九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学・教授・加藤 聖子の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 
 また、この研究で得られた研究対象者の試料や情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
7.利益相反について
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は部局等運営費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。

 
8.研究に関する情報や個人情報の開示について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
9.研究の実施体制について 
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所(分野名等) 九州大学大学院医学研究院 小児外科学分野
九州大学病院 小児外科
研究責任者 九州大学病院総合周産期母子医療センター 准教授 松浦俊治
研究分担者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 講師 吉丸 耕一朗
九州大学病院小児外科 助教 小幡 聡
九州大学病院きらめきプロジェクト 学術研究員 入江 敬子
九州大学大学院医学系学府小児外科学分野 大学院生 大森 敦子
九州大学大学院医学系学府小児外科学分野 大学院生 梶原 啓資
九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 大学院生 渋井 勇一
九州大学大学院医学系学府小児外科学分野 大学院生 玉城 昭彦
九州大学大学院医学系学府小児外科学分野 大学院生 日野 祐子
九州大学大学院医学研究院形態機能病理学分野 教授 小田義直
九州大学大学院医学研究院形態機能病理学分野 准教授 孝橋賢一
九州大学 名誉教授 田口智章
10.相談窓口について 
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。
 
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 講師 吉丸 耕一朗
連絡先:〔TEL〕092-642-5573
    〔FAX〕092-642-5580
メールアドレス: ped-surg@pedsurg.med.kyushu-u.ac.jp
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