臨床研究

胆道閉鎖症における血清matrix metalloproteinase-7の臨床的有用性に関する研究

1.臨床研究について
 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野では現在、胆道閉鎖症の患者さんを対象として、血清matrix metalloproteinase-7(MMP-7)に関する「臨床研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、令和7年2月28日までです。
2.研究の目的や意義について 
 胆道閉鎖症(BA)の生存率向上と肝移植回避には、早期診断と早期手術が重要です。早期診断や肝移植を予測できる非侵襲的なバイオマーカーはまだありません。血清matrix metalloproteinase-7(MMP-7)は胆道閉鎖症の診断バイオマーカーとして有用な可能性があるものの、本邦では全く検証されていないのが現状です。そこで、血清MMP-7の測定法を確立し、本邦における胆道閉鎖症の診断にも有用か検討します。
 
3.研究の対象者について 
 本研究では、九州大学病院 小児外科・成育外科・小腸移植外科で、先行研究である「小児肝・神経疾患におけるオキシステロールの病態解析とバイオマーカーとしての可能性」の研究に参加することを同意され、検体採取させていただいた、同意取得当時生後6か月未満の胆道閉鎖症を含む肝疾患の患者さん10名を対象とします。
 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
4.研究の方法について
 本研究では、対象となる患者さんの血液中のMMP-7の量を調べます。その結果と共同研究施設で採取された健常の方のMMP-7の量を比較することにより、胆道閉鎖症を含む肝疾患の診断にMMP-7が有用かを調べます。
 
〔利用する試料〕
前述の研究「小児肝・神経疾患におけるオキシステロールの病態解析とバイオマーカーとしての可能性」で採取・分析した血清の残血清(凍結保存血清)。
 
〔利用する診療情報〕
診断名、年齢、性別、症状、血液検査、病理検査、合併症、手術所見、経過など
 
〔外部への試料・情報の提供〕
 対象となる方の診療情報および試料は誰のものかわからない状態(匿名化)で、久留米大学医学部小児科に送付されます。また、血液検体については、久留米大学に集められた後、匿名化された状態でLSIメディエンス社に送付し、解析を依頼します。
 他機関への試料・情報の送付を希望されない場合は、送付を停止いたしますので、ご連絡ください。
5.個人情報の取扱いについて 
 研究対象者の血液や測定結果、カルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した情報は、医学研究院生殖病態生理学分野教授・加藤聖子の責任の下、厳重な管理を行います。
 ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
 研究対象者の血液や測定結果、カルテの情報を久留米大学へ郵送する際には、九州大学にて上記の処理をした後に行いますので、研究対象者を特定できる情報が外部に送られることはありません。
6.試料や情報の保管等について 
〔試料について〕
 この研究において得られた研究対象者の血液や病理組織等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学九州大学大学院医学研究院小児外科学分野において医学研究院生殖病態生理学分野教授・加藤聖子の責任の下、5年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 
〔情報について〕
 この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学九州大学大学院医学研究院小児外科学分野において医学研究院生殖病態生理学分野教授・加藤聖子の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 
 また、この研究で得られた研究対象者の試料や情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

 
7.利益相反について 
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は部局等運営費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
 
 利益相反マネジメント委員会
 (窓口:九州大学ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)
8.研究に関する情報や個人情報の開示について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 また、ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
9.研究の実施体制について 
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所(分野名等) 九州大学病院小児科
九州大学大学院医学研究院小児外科学分野
研究責任者 九州大学病院総合周産期母子医療センター・准教授・松浦俊治
研究分担者 九州大学大学院医学研究院小児外科分野 講師 吉丸耕一朗
九州大学病院総合周産期母子医療センター・助教・髙橋良彰
九州大学大学院医学系学府小児外科学分野・大学院生・梶原啓資
九州大学大学院医学系学府小児外科学分野・大学院生・河野雄紀
九州大学病院小児外科・医員・内田康幸
九州大学大学院医学系学府小児外科学分野・大学院生・鳥井ケ原幸博
 
共同研究施設
及び
試料・情報の
提供のみ行う
施設
施設名 / 研究責任者の職名・氏名 役割
①久留米大学医学部小児科学講座 講師 水落 建輝
自治医科大学消化器一般移植外科/講師・眞田幸弘
③東北大学小児外科/講師・佐々木 英之
④名古屋大学大学院医学系研究科小児外科/講師・田井中 貴久
⑤順天堂大学小児科・思春期科/准教授・東海林 宏道
⑥順天堂大学小児外科・小児泌尿生殖器外科/准教授・宮野 剛
⑦東京大学小児外科/教授・藤代 準
⑧埼玉県立小児医療センター消化器・肝臓科/医長・岩間 達
⑨埼玉県立小児医療センター外科/科長・川嶋 寛 
①試料・情報の収集・解析
②~⑨
試料・情報の提供
 
 
業務委託先 企業名等:株式会社LSIメディエンス
所在地:東京都千代田区内神田一丁目13番4号
10.相談窓口について 
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。
 
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学大学院医学系学府小児外科学分野 
大学院生・河野雄紀
連絡先:〔TEL〕092-642-5573
        〔FAX〕092-642-5580
メールアドレス:ped-surg@pedsurg.med.kyushu-u.ac.jp
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