臨床研究

難治性小児・若年成人世代肝腫瘍の原因遺伝子解析

1.ヒトゲノム・遺伝子解析研究について
 九州大学病院では、病気に関係する遺伝子や薬の効き目に関係する遺伝子を見つけ出したり、遺伝子技術を取り入れた病気の診断のための技術開発を行ったりしています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」といいます。その一つとして、九州大学病院小児外科では、現在難治性肝芽腫、肝細胞癌の患者さんを対象として、難治性小児・若年成人世代肝腫瘍の原因遺伝子解析に関する「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2024年11月30日までです。
2.研究の目的や意義について
 近年の化学療法・外科的治療の進歩により小児・若年成人世代の肝腫瘍の治癒率は向上していますが、肝芽腫のうち転移例、高年齢発症例、肝細胞がん様の特徴を併せ持つ症例や肝細胞がん等の難治性肝腫瘍症例の予後は極めて不良であり、新規治療法の開発が待たれています。本研究では難治性小児・若年成人肝腫瘍の摘出腫瘍組織、病理標本、正常細胞から特異的な遺伝子変異を同定し、その意義を検討することを目的としています。将来的には難治性小児・若年成人肝腫瘍に対する新規治療の開発などの臨床への還元を試みることを想定しています。
3.研究の対象者について
 九州大学小児外科にて2020年3月31日までに、難治性の肝腫瘍と診断され、肝組織、血漿/血清(既存検体)が保管されている患者さんを対象としております。九州大学では5例程度が対象となる予定です。
 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は事務局までご連絡ください。
 また、ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
4.研究の方法について 
  • 遺伝子診断の方法~手術検体や過去の腫瘍組織の標本(場合によって血液)を行います~
 この研究では、原因となる遺伝子の構造を調べます。遺伝子の情報はからだのどの細胞も持っていますので、手術で取り出した腫瘍の一部や過去に手術で取り出した腫瘍組織の標本を用いることで遺伝子解析ができます。全エクソン解析、RNAシーケンス解析、全ゲノム解析という方法などを駆使してすべての遺伝子について原因となる遺伝子異常を探します。
 
  • 遺伝子からできるタンパク質やそのはたらきについて
 いただいた細胞を使って、遺伝子からできるタンパク質の量やその働きを検査することがあります。その他、試験管内培養や免疫が機能していない特殊なマウスを用いた新しい治療法の開発なども行います。
 
  • 今までのカルテと今後の症状の調査
 遺伝子と症状の関係を知るために、病気の診断が確定しているご本人の今までの症状を調査するとともに今後も継続的に症状を記録したいと考えています。症状の調査はカルテをもとに行います。
 
  • 研究実施期間
承認日より2024年11月30日までです。
 
〔取得する情報〕
疾患名、生年月、診断日、性別、診断時腫瘍マーカー値、診断時病期、転移部位、基礎疾患、初期治療内容、治療終了日、治療終了後の転機、最終生存確認日、二次がんの発症の有無、病理診断の結果
 
〔取得する試料〕
血液、腫瘍組織、病理標本
 
 京都大学小児科へあなたの血液・腫瘍組織・病理標本と情報を郵送にて送付し、上記で述べた詳しい解析を行う予定です。
5.研究に関する情報公開について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
6.利益相反について
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
  一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は部局等運営費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
 
利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学ARO次世代医療センター 電話:092-642-5774)
7.研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所(分野名等) 九州大学大学院医学研究院小児外科分野
九州大学病院小児外科
研究責任者 九州大学病院小児外科・助教・川久保 尚徳
研究分担者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・助教・武本 淳吉
九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 学術研究員 宗﨑良太
九州大学大学院医学研究院形態機能病理学 教授 小田 義直
九州大学大学院医学研究院形態機能病理学 准教授 孝橋 賢一
 
共同研究施設
及び
試料・情報の
提供のみ行う
 
施設名 / 研究責任者の職名・氏名 役割
①京都大学大学院医学研究科 発達小児科学 講師 梅田 雄嗣 
②埼玉県立小児医療センター 血液・腫瘍科 部長・康勝好
神奈川県立こども医療センター 血液・腫瘍科 センター長・後藤裕明
④静岡県立こども病院 血液腫瘍科 科長・渡邉健一郎
⑤兵庫県立こども病院 血液・腫瘍内科 科長・長谷川大一郎
⑥金沢医科大学 小児外科 教授・岡島英明
⑦宮城県立こども病院 血液腫瘍科 科長・佐藤篤
⑧大阪大学    小児科 助教・宮村能子
⑨大阪市立総合医療センター 小児血液腫瘍科 部長・藤崎弘之 
⑩秋田大学    小児科  講師・矢野道広
⑪岡山大学    小児外科 助教・谷本光隆
⑫鹿児島大学 小児科 准教授・岡本康裕
⑬~㊷その他全国の提供機関 
提供機関は全部で42機関
 
①解析
試料・情報
の収集
②~㊷
試料・情報の提供
8.相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。
 
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学病院小児外科・助教・川久保 尚徳
連絡先:〔TEL〕092-642-5573
    〔FAX〕092-642-5580
メールアドレス:ped-surg@pedsurg.med.kyushu-u.ac.jp
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