臨床研究

根治性を維持しつつも整容性に配慮した小児固形腫瘍に対する内視鏡外科手術の検討

1.観察研究について
 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院小児外科では、現在小児固形腫瘍の患者さんの患者さんを対象として、根治性を維持しつつも整容性に配慮した内視鏡外科手術に関する「観察研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2028年5月31日までです。
2.研究の目的や意義について 
 腫瘍疾患に対する手術は,腫瘍の全摘出が基本原則であり,腫瘍残存のない術式を選択する必要があります。腹腔鏡下手術は技術的な問題や,手術器具の不足などから手術の難易度が高く,腫瘍残存の可能性が危惧され,また気腹に伴う腹腔内播種の可能性,ポートサイト再発,腫瘍摘出に伴い大きな開腹創が必要で,郭清の困難さなどからあまり行われてきませんでした。しかし,近年小児内視鏡手術の手術器具は進歩し,小児症例でも活用できる手術デバイスが数多く開発されてきたこと,手術侵襲は小さく,術後化学療法の開始が早いことなど,内視鏡手術のメリットは多く,reduced port surgeryを含めた内視鏡手術の有用性は増しています。
 当科では積極的に内視鏡外科手術を取り入れ,切除した腫瘍を体外に摘出する際の切開創を工夫することで患者QOLに配慮した手術を心がけています。
3.研究の対象者について
 九州大学病院小児外科において2013年4月1日から2023年5月31日までに小児固形腫瘍に対し摘出手術を受けられた方のうち、135名を対象にします。
4.研究の方法について
 この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。
 〔取得する情報〕
 年齢、性別、身長、体重
 腫瘍に関する画像所見
(単純X線、超音波検査、MRI検査、CT検査、PET検査、シンチグラフィー)
 手術所見(手術時間、出血量、合併症の有無、術式)
 術後経過(入院日数、通院日数、再発の有無、追加治療の有無)
 以上により得られたデータを用い、小児固形腫瘍に対する内視鏡手術の安全性および妥当性を検証します。
5.個人情報の取扱いについて
 研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 教授 田尻達郎の責任の下、厳重な管理を行います。
 ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
6.試料や情報の保管等について 
〔情報について〕
この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野において九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 教授 田尻達郎の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
7.利益相反について
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は部局等運営費で対応予定であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
 利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)

 
8.研究に関する情報や個人情報の開示について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 また、ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
9.研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野
九州大学病院小児外科
研究責任者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 教授 田尻達郎
研究分担者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 助教 川久保尚徳
九州大学病院小児外科 助教 福田篤久
10.相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。
 
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学病院小児外科 助教 福田篤久
連絡先:〔TEL〕092-642-5573
      〔FAX〕092-642-5580
メールアドレス:ped-surg@med.kyushu-u.ac.jp
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