臨床研究

手術を行った低出生体重児の長期予後

1.臨床研究について
 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院小児外科では、現在、当院入院中に当科で手術を行った低出生体重児の患者さんを対象として、長期的な成長発達に関する「臨床研究」を行っています。
 
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2026年3月31日までです。
2.研究の目的や意義について
 本研究の目的は、初回入院時に手術をおこなった低出生体重児がその後の長期経過において、就学を迎える際にどのような身体的成長・精神的発達状況にあるのかについて実態調査を行い、現状の理解と長期的視野にたった療育などの介入の必要性について検討する事が目標です。本研究の目的を要約しますと以下の3点になります。
1) 新生児期に手術を行った低出生体重児の生命予後、長期予後を把握する。
2) 手術を受けた低出生体重児の成長・発達に影響を及ぼす可能性のある因子を探索する。
3) 疾患別の長期予後についてサブグループ解析を行い、疾患における傾向分析を行う。
 
3.研究の対象者について
 九州大学病院小児外科において2005年1月1日から2014年12月31日までに低出生体重児として出生し、小児外科で手術を受けられた方、126名(出生体重2500g未満の低出生体重児97例と出生体重1500g未満の極低出体重児29例(出生体重1000g未満の超低出体重児も含む))を対象にします。
 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
4.研究の方法について
この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。
 
 〔取得する情報〕
出生前所見(出生前診断例のみ)
最初に外科疾患が疑われた時点での妊娠週日数、診断された外科疾患、胎児治療の有無、出生前ステロイド投与の有無
出生時所見(出生前診断例・出生後診断例に共通)
出生前診断の有無、出生場所[院内/院外]、出生年月、分娩様式(経膣自然分娩/経腟誘発分娩/予定帝王切開/緊急帝王切開)、帝王切開の理由[ CDH/胎児機能不全(fetal distress)/母体理由/その他(自由記載)]、帝王切開時の陣痛の有無「有・無」、体重、身長、頭位、性別、Apgar Score( 1分、5分)、SGAの有無、奇形の合併[染色体異常(内容)、中枢神経異常(内容)、動脈管開存以外の心奇形(内容)、その他(内容)]の有無、
初期胸部単純レントゲン写真の所見
治療的介入(出生前診断例・出生後診断例に共通)
人工呼吸管理:初回人工呼吸開始日、人工呼吸管理期間(一時的中断は管理終了と見なさない)
酸素投与の有無:初回投与開始日、投与期間(一時的中断は投与終了と見なさない)
気管切開の有無:気管切開施行日、気管切開離脱日
経静脈栄養(開始時期、終了時期、TPN施行期間、TPN熱量)
成長ホルモンの使用の有無
根治術所見(出生前診断例・出生後診断例に共通)
手術日、出生から手術までの時間、病変部位、手術アプローチ(経腹/経胸/鏡視下/その他(自由記載))、鏡視下手術の非完遂の有無(通常手術へ移行・手術中止を含む)/非完遂の理由、術中合併症(自由記載)
退院時所見(他院への直接転院も含む)と生存期間
入院時日齢、退院時日齢、退院理由、呼吸補助[酸素投与、人工呼吸器(CPAPを含む)、気管切開]の有無、経口以外の栄養摂取[在宅TPN、経鼻栄養、経胃瘻栄養]の有無、生命予後(生存/死亡)、最終確認日または転帰時の日齢、明らかに原病と関連のない死亡(非医原性の事故死など)の有無
退院時合併症
SSI(有・無・不明)消化管穿孔(有・無・不明)、敗血症(有・無・不明)
術後合併症の有無(有・無・不明)、再手術の有無、再手術日、手術内容(自由記載)
中枢神経障害( IVH、PVL、水頭症、低酸素性脳症、痙攣、その他)(有・無・不明)
その他(自由記載)
成長発達
1.5歳、3歳、6歳時の身長、体重、頭囲
1.5歳、3歳、6歳時の主治医判断による発達遅延の有無、神経学的所見(複数選択可)
1.5歳、3歳時のDQ値(新版K式):姿勢・運動(PM)、認知・適応(CA)、言語・社会(LS)、全般、施行日
6歳時のIQ値(WISK-Ⅳ):姿勢・運動(PM)、認知・適応(CA)、言語・社会(LS)、全般、施行日
6歳,9歳,12歳時の就学状況、養育環境に関する情報(両親の有無、親の加入保険)
退院後の合併症
発達遅延の有無、歩行遅延の有無、発語遅延の有無、聴力障害の有無、視力障害の有無、てんかんの有無、脳性麻痺の有無、在宅酸素投与の必要性、気管切開の有無、在宅人工呼吸管理の必要性、喘息の既往、運動制限の有無、呼吸器疾患による入院の有無、経静脈栄養の必要性、経管栄養の必要性
 
 これらの情報をもちいて、初回入院時に手術をおこなった低出生体重児がその後の長期経過において、就学を迎える際にどのような身体的成長・精神的発達状況にあるのかについて実態調査を行い、現状の理解と長期的視野にたった療育などの介入の必要性について検討します。
5.個人情報の取扱いについて 
 研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野・教授・加藤聖子の責任の下、厳重な管理を行います。
 ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
 
6.試料や情報の保管等について
〔情報について〕
 この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野において九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野・教授・加藤聖子の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 
 また、この研究で得られた研究対象者の試料や情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
 
7.利益相反について
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
本研究に関する必要な経費は部局等運営費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
 
「利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)」
8.研究に関する情報や個人情報の開示について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 また、ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
 
9.研究の実施体制について 
この研究は以下の体制で実施します。
 
研究実施場所(分野名等) 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野
九州大学病院小児外科、成育外科、小腸移植外科
研究責任者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 助教 永田 公二
研究分担者 九州大学病院総合周産期母子医療センター 准教授 松浦 俊治
九州大学病院救命救急センター 助教 近藤 琢也
九州大学大学院医学系学府小児外科学分野 大学院生 河野 淳
10.相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。
 
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学病院小児外科 助教 永田 公二
連絡先:〔TEL〕092-642-5573
    〔FAX〕092-642-5580
メールアドレス:ped-surg@pedsurg.med.kyushu-u.ac.jp
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