臨床研究

機械学習を用いた、新生児医療における単純X線画像検査の有効利用の研究

1.臨床研究について
 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院小児外科・成育外科・小腸移植外科では、現在、NICU、GCUに入院した患者さんを対象として、機械学習を用いた、新生児医療における単純X線画像検査の有効利用に関する「臨床研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2026年4月30日までです。
 
2.研究の目的や意義について
 この研究の目的は、可能な検査が限られている新生児医療に対し、機械学習というコンピュータのプログラムを利用することで、単純X線検査をさらに有効活用しようとすることが目的です。
 新生児医療では、医学的な管理による制限(検査室まで移動できない等)から、CTやMRI等の画像検査を行うことが困難な場合があります。一方,単純X線写真はポータブル(患者さんを動かさなくて良い検査)もあり、比較的少ない侵襲の検査として、新生児医療において一般的に使用されている検査です。単純X線写真からも様々な医学的情報が取得できますが、人間である医師が解釈できる医学情報には限度があり、また、X線写真を判読する能力も個人差があり、十分な情報が取得できない場合もあります。
機械学習とは多量のデータから規則性や判断基準を学習し、それに基づき既知あるいは未知のものを予測、判断する技術です。
 私たちは、この機械学習の技術を用いて、単純X線写真画像から、肺炎や気管支炎、肺線維症、気胸、腸炎、腸閉塞といった具体的な疾患の診断に加え、その疾患の臨床経過の予測や、身長や体重、骨密度、成長・発達の評価といった単純線写真からは従来取得できなかった情報を予測することで、検査を有効活する事が出来るのではないかと考えました。
 近年の機械学習の発達から、さまざまな機械学習の手法が生み出されてきました。特に深層学習(Deep learning)という手法を適切に用いることで、画像情報をより詳しく予測できることがあります。今回の研究では機械学習の手法を積極的に取り込むことで、単純X線画像から人間では取得できない情報(臨床経過の予測や,身長や体重,骨密度,成長・発達の評価等)の取得を期待しています。検査画像をより良く利用できれば、診療の質の向上が期待されます。
 
3.研究の対象者について
 2011年4月30日から2021年4月30日までの期間に、九州大学病院小児外科・成育外科・小腸移植外科においてNICU、GCUに入院し、単純X線写真検査を行った患者さんの中で入院時の年齢が1カ月未満の新生児334名の方が対象です。
 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
4. 研究の方法について
 対象となる患者さんの、経時的な情報を、電子カルテより抽出します。
〔取得する情報〕
身長・体重、出生歴、年齢、性別、疾患名、入院期間、血液検査結果、骨密度、処方歴、手術歴、注射歴、および入院歴
 抽出されたデータを再現可能な手法を用いて解析に使えるように加工します。その後,「機械学習モデル」を作成し、単純X線画像を学習し、画像診断や臨床経過の予測などを行います。さらに予測結果の改善のために、機械学習モデルの調整を行います。
5.個人情報の取扱いについて
 研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野・教授・加藤 聖子の責任の下、厳重な管理を行います。
 ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
 
6.試料や情報の保管等について
〔情報について〕
 この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野・教授・加藤 聖子の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 
 また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
 
7.利益相反について
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は厚生労働科学研究費(難治性疾患政策研究事業)「難治性小児消化器疾患の医療水準向上および移行期・成人期の QOL 向上に関する研究」および部局等運営費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
 利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
  利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)
 
8.研究に関する情報や個人情報の開示について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 また、ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
9.研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所(分野名等) 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野
九州大学病院小児外科・成育外科・小腸移植外科
研究責任者 九州大学病院総合周産期母子医療センター 助教 桐野 浩輔
研究分担者 九州大学大学院医学系学府小児外科学分野 大学院生 増田 吉朗
 
 
10.相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学大学院医学系学府小児外科学分野 大学院生 増田 吉朗
連絡先:〔TEL〕092-642-5573(内線5573)
    〔FAX〕092-642-5580
メールアドレス:ped-surg@pedsurg.med.kyushu-u.ac.jp
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