臨床研究

急性陰嚢症に関する臨床像および精巣予後を検討した後ろ向き観察研究

1.観察研究について
 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院小児外科では、現在急性陰嚢症の患者さんを対象として、急性陰嚢症に関する後ろ向き研究に関する「観察研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2026年4月30日までです。
 
2.研究の目的や意義について
 急性陰嚢症は陰嚢部に急性の有痛性腫脹を伴う疾患の総称で、精巣捻転症、精巣付属小体捻転症(精巣垂捻転症)、精巣上体炎が主たる疾患です。小児急性陰嚢症の中でも特に精巣捻転症は、精巣予後の観点から早期の治療介入が必要であり、捻転とそれ以外の疾患の鑑別が重要となります。
 小児の患者さんにおいてはこれらの疾患の鑑別が難しく、急性陰嚢症の診断に苦慮する場合が多くあります。
 本研究の目的は、九州大学病院を受診した急性陰嚢症の患者さんについて診療録を後方視的に参照し、臨床像や実臨床での対応を明らかにすることで、現在九州大学病院で行われている急性陰嚢症の対応に関した診療方針の妥当性を再確認し、診療の改善策や精巣予後を検討する事を目的としています。
 
3.研究の対象者について
 2008年4月1日~2022年4月30日に急性期の陰嚢痛を主訴に九州大学病院小児外科の外来を受診した患者さん77名を対象にします。
 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
4.研究の方法について
この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。
 〔取得する情報〕
身長・体重、出生歴、年齢、性別、疾患名、入院期間、血液検査、尿検査、尿培養、処方歴、注射歴、手術歴および入院歴、身体所見、超音波検査所見、医師のカルテ記載内容

 取得した情報から、患児の年齢、症状、患側、発症時間、検査所見(血液検査,超音波検査)、診断名、手術をした場合は手術症例における分類、術式、手術までの時間、捻転度、転帰について診療録を元にして後方視的に検討し、臨床像や実臨床での対応を明らかにし、現在九州大学病院で行われている急性陰嚢症の対応に関した診療方針の妥当性を再確認し、診療の改善策や精巣予後を検討します。
5.個人情報の取扱いについて 
 研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・教授・田尻達郎の責任の下、厳重な管理を行います。
 ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
6.試料や情報の保管等について 
〔情報について〕
 この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野において同分野教授・田尻達郎の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 
 また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。 
7.利益相反について
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は部局等運営費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
 利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)
8.研究に関する情報の開示について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 
9.研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所 九州大学病院小児外科
九州大学大学院医学研究院小児外科学分野
研究責任者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 教授 田尻達郎
研究分担者 九州大学病院小児外科 助教 小幡 聡
九州大学大学院医学系学府小児外科分野 大学院生 増田 吉朗
 
 
10.相談窓口について 
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学大学院医学系学府小児外科分野 大学院生 
    増田 吉朗
連絡先:〔TEL〕092-642-5573
    〔FAX〕092-642-5580
メールアドレス:ped-surg@med.kyushu-u.ac.jp
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