臨床研究

小児梨状窩瘻に対する内視鏡下電気焼灼療法の有用性に関する後方視検討

1.観察研究について
 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院小児外科では、梨状窩瘻に対して積極的に内視鏡下電気焼灼療法を施行しており、その有用性に関して検討するための後方視的研究に関する「観察研究」を行っています。
  今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2025年3月31日までです。
 
2.研究の目的や意義について 
 梨状窩瘻は第3あるいは第4鰐嚢遺残による先天異常で、 瘻管からの感染が甲状腺周囲間隙から甲状腺に波及し, 急性化膿性甲状腺炎を起こす疾患です。 幼小児に好発し、通常左前頸部に反復性の有痛性腫脹および発熱を来します。元来、治療としては頸部の嚢胞とそれに続く瘻管の切除を原則としていましたが、反回神経の損傷や術後頸部に大きな創を残してしまうなどの整容性の問題があります。
 昨今、内視鏡を用いた瘻孔の焼灼の有用性が報告されており、成人例を中心にトリクロール酢酸や硝酸銀を用いた「化学的焼灼」が行なわれております。しかし、小児例においてトリクロール酢酸や硝酸銀を使用する安全性は証明されておらず、化学的焼灼を行なうことにはハードルが高いものと考えます。化学的焼灼以外には電気焼灼療法の報告があり、当科では2017年から内視鏡下に瘻孔を観察した上で、内視鏡プローベを用いた瘻孔焼灼を施行しており、今回、その有用性に関して後方視的検討を行います。
 
3.研究の対象者について
 九州大学病院小児外科において2017年1月1日から2021年12月31日までに内視鏡下電気焼灼術を施行した梨状窩瘻の患者さん、6名を対象としております。
  研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
 
4.研究の方法について
 この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。得られたデータを用い、内視鏡下電気焼灼術の有用性を解明します。
 〔取得する情報〕
 臨床情報(年齢・性別・焼灼術後の状態・画像所見・手術所見)
 
5.個人情報の取扱いについて
 研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・教授・田尻達郎の責任の下、厳重な管理を行います。
 ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
 
6.試料や情報の保管等について
〔情報について〕
 この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野において同分野・教授・田尻達郎の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。 
 また、この研究で得られた研究対象者の試料や情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
 
7.利益相反について 
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は部局等運営費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
 利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)
 
8.研究に関する情報の開示について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 また、ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
 
9.研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所(分野名等) 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野
九州大学病院小児外科
研究責任者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 教授 田尻達郎
研究分担者 九州大学病院総合周産期母子医療センター 助教 川久保尚徳
九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 助教 武本淳吉
10.相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学病院総合周産期母子医療センター 
    助教 川久保尚徳
連絡先:〔TEL〕092-642-5573
      〔FAX〕092-642-5578
メールアドレス:ped-surg@med.kyushu-u.ac.jp
 
 
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