臨床研究

小児消化器内視鏡全国調査2022

1.観察研究について
 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院小児外科では、現在検査内視鏡および治療内視鏡を必要とする消化器疾患の患者さんを対象として、小児消化器内視鏡全国調査2022に関する「観察研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2023年12月31日までです。
2.研究の目的や意義について 
 近年、内視鏡スコープの細径化や技術の向上に伴って、小児期に対しても消化管内視鏡を行える機会が増えています。これまで、日本小児内視鏡研究会が主体となり1993年、2005年、2009年に過去3回、小児内視鏡についての全国調査が行なわれ、小児内視鏡の実施状況や偶発症について報告されました。また、2017年には全国630施設への調査を行いました。2011年~2016年の5年間における小児消化器内視鏡の総数は37,447件でした。検査内視鏡は32,219件(85.6%)であり、上部 18,484件、大腸 11,936件、ERCP 389件、カプセル内視鏡 897件、バルーン内視鏡 513件であった。治療内視鏡は5,417件(14.4%)であり、バルーン拡張術 1,703件、異物除去 989件、ポリープ切除術 822件などの順でした。偶発症は総計 202件(0.54%)でした。内視鏡検査では 89件(0.245%)であり重篤な偶発症である穿孔は8件(上部内視鏡 0.0054%、大腸内視鏡 0.025%)、出血は6件、呼吸循環系は25件、膵炎は13件でした。治療内視鏡における偶発症は 122件(2.33%)でした。死亡例は認められなかった。
 小児科医・小児外科医の中で小児消化管内視鏡を施行できる医師が増えていることなどの変化が認められ、小児消化管内視鏡の実施状況や安全性、偶発症について全国調査を継続して行う必要性があります。そこで、日本小児内視鏡研究会において小児消化器内視鏡全国調査2022ワーキンググループが発足し、日本小児内視鏡研究会の施設会員、および全国の小児科専門医研修施設/基幹施設、小児外科学会認定施設・教育関連施設を対象として全国調査を実施することになりました。
 本研究をおこなうことで、本邦における小児消化器内視鏡の現状を把握することができるため、今後の小児消化器内視鏡の適応や方法を見極められる可能性があります。
 
3.研究の対象者について
 九州大学病院小児外科において2016年4月1日から2021年3月31日までに小児消化器内視鏡を実施された患者さん、400名を対象にします。
 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
4.研究の方法について
 この研究は以下の手順で行われます。
(1)順天堂大学医学部附順天堂医院が行う小児期における消化管内視鏡の必要性、安全性、偶発症の頻度、鎮静の合併症などについてアンケート調査に関して、九州大学病院小児外科での実績を担当医師が回答します。
(2)調査内容:上部消化管内視鏡、大腸内視鏡、ERCP、カプセル内視鏡、バルーン内視鏡、その他消化器内視鏡を検査内視鏡、治療内視鏡に分けて、各内視鏡の実施の有無、その件数、それぞれの偶発症の有無、種類、件数、処置内容
(3)アンケートは順天堂大学医学部附順天堂医院がハガキでGoogleフォームのQRコードを送付し、サイトより、小児消化器内視鏡の有無を回答します。
(4)小児消化器内視鏡が有の場合にはEXCELファイルにて内視鏡件数、偶発症件数を報告します。EXCELファイルは順天堂大学医学部附順天堂医院の研究代表者へメールで送付します。
 
 他機関への情報の送付を希望されない場合は、送付を停止いたしますので、ご連絡ください。
5.個人情報の取扱いについて
 研究対象者の情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院鋳学研究院小児外科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院小児科学分野・教授・田尻達郎の責任の下、厳重な管理を行います。
 ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
 研究対象者の情報を順天堂大学医学部附順天堂医院へ送付する際には、九州大学にて上記の処理をした後に行いますので、研究対象者を特定できる情報が外部に送られることはありません。
 
6.試料や情報の保管等について
〔情報について〕
 この研究において得られた研究対象者の情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野において同分野教授・田尻達郎の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
7.利益相反について 
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は部局等運営費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
 利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)
8.研究に関する情報の開示について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 
9.研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所 九州大学病院小児外科
九州大学大学院医学研究院小児外科学分野
研究責任者 九州大学大学院医学研究院小児外科分野 教授 田尻達郎
研究分担者 九州大学病院小児外科 助教 小幡聡
九州大学病院総合周産期母子医療センター 助教 川久保尚徳
九州大学病院総合周産期母子医療センター 講師 永田公二
九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 准教授 松浦俊治
共同研究機関等 機関名 / 研究責任者の職・氏名 役割
①順天堂大学医学部附属順天堂医院小児科・思春期科・先任准教授  工藤孝広
②信州大学医学部小児医学教室・准教授  中山佳子
③東京女子医科大学小児外科・臨床教授  世川修
④大阪母子医療センター消化器・内分泌科・副部長  萩原真一郎
⑤筑波大学医学医療系小児科学・診療講師  田川学
⑥静岡県立こども病院小児外科・医員  金井理紗
⑦藤田医科大学小児外科・准教授  井上幹大
⑧宮城県立こども病院総合診療科・消化器科・部長  角田文彦
①~⑧解析
情報の収集
 
 
10.相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学病院小児外科 助教 小幡 聡
連絡先:〔TEL〕092-642-5573
      〔FAX〕092-642-5580
メールアドレス:ped-surg@med.kyushu-u.ac.jp
 
 
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