臨床研究

新生児胃破裂症例に関する剖検検体を用いた免疫組織学的評価

1.観察研究について
 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院小児外科では、現在、新生児胃破裂の患者さんを対象として、新生児胃破裂症例に関する「観察研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2024年3月31日までです。
2.研究の目的や意義について 
 新生児胃破裂の原因として先天的な筋層欠損が指摘されています。近年、病理組織学的特徴として非穿孔部における非壊死部において肥満細胞やカハール細胞等のc-kit陽性細胞が減少もしくは欠損しているとの報告が散見されますが、症例数の少なさから十分な成因解明に至っていません。新生児胃破裂の原因は多岐にわたるため、本研究において病理組織学的介入を行うことは新生児胃破裂の成因解明、新生児胃破裂の治療成績向上につながると考えています。
 
3.研究の対象者について
 九州大学病院小児外科において2010年1月1日から2021年12月31日までに新生児胃破裂の診断で治療された患者さん5名を対象にします。
 病理学的検討を行うために2010年1月1日から2021年12月31日までに九州大学病院小児外科および形態機能病理学分野において剖検(亡くなった患者さんのご遺体を解剖して調べること)を行った5名の新生児の患者さんと、前述の新生児胃破裂の患者さんとの病理学的な比較を行います。
 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
 
4.研究の方法について
 この研究を行う際は、当院に保存している下記の試料を用います。併せてカルテより以下の情報を取得します。
 また、佐賀県医療センター好生館の患者さんの匿名化された試料・情報が本学へ提供され、それらも使用して解析を行います。
  〔取得する試料〕
 ホルマリン固定パラフィン包埋標本
 
  〔取得する情報〕
 年齢、性別
 治療の詳細(患者群)
 転帰(対照群)
 病理組織学診断結果

 全ての情報は匿名化し、九州大学病院小児外科において集計、解析を行います。

 
5.個人情報の取扱いについて
 研究対象者の病理組織、カルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・教授・田尻達郎の責任の下、厳重な管理を行います。
 ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
 
6.試料や情報の保管等について
〔試料について〕
 この研究において得られた研究対象者の病理組織等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野において同分野教授・田尻達郎の責任の下、5年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 
〔情報について〕
 この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野において同分野教授・田尻達郎の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 
また、この研究で得られた研究対象者の試料や情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
 
7.利益相反について 
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は部局等運営費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
 利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)
 
8.研究に関する情報の開示について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 
9.研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所 九州大学病院小児外科
九州大学大学院医学研究院小児外科学分野
研究責任者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 教授 田尻達郎
研究分担者 九州大学病院小児外科 助教 福田篤久
九州大学大学院医学研究院形態機能病理学分野 教授 小田義直
九州大学大学院医学研究院形態機能病理学分野 准教授 孝橋賢一
九州大学大学院医学系学府小児外科分野 大学院生 玉城昭彦
共同研究機関等 機関名 / 研究責任者の職・氏名 役割
佐賀県医療センター好生館 小児外科/科長 山内健
佐賀県医療センター好生館 病理診断部/科長 森大輔
試料・情報提供
試料・情報提供
10.相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学病院小児外科科 助教 福田篤久
連絡先:〔TEL〕092-642-5573
      〔FAX〕092-642-5580
メールアドレス:ped-surg@med.kyushu-u.ac.jp
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