臨床研究

未熟児関連消化管機能障害児における外科的治療経過の後方視的検討

1.観察研究について
 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院小児外科では、現在,未熟児関連消化管機能障害の患者さんを対象として、「未熟児関連消化管機能障害児における外科的治療経過の後方視的検討」に関する「観察研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2027年3月31日までです。
2.研究の目的や意義について 
 新生児呼吸・循環管理の進歩に伴い極・超低出生体重児の救命率,intact survival率(後遺症なき生存率)ともに向上してきました.一方で,極・超低出生体重児は様々な疾患で小腸ストーマが必要になることがあります.しかし,低出生体重児の小腸ストーマはストーマ関連合併症やパウチ管理などの局所の問題,ストーマからの排液コントロール不良による体液管理への影響,経腸栄養が十分に行えないことによる成長発達への影響などを生じ得ます.及的早期のストーマ閉鎖が望ましい一方で耐術能や腸管の未熟性による縫合不全のリスクなど考慮すべき課題も多いです.
極・超低出生体重児の小腸ストーマについては造設後の腸管リハビリテーションや閉鎖術の至適時期に関する検討は少なく,ストーマ閉鎖前の肛門側腸管の腸管リハビリテーション至適閉鎖時期は定まっていません.
 今回,当科での症例を後方視的に検討することで安全な人工肛門閉鎖に向けた腸管リハビリテーションおよび合併症の少ない人工肛門閉鎖術に向けた治療戦略を探るべく本研究を計画しました.
 
3.研究の対象者について
九州大学病院小児外科において1990年1月1日から2022年12月31日までに未熟児関連消化管機能障害(壊死性腸炎,限局性腸管穿孔,胎便関連性腸閉塞症,その他の消化管穿孔またはイレウス症例を含む)の診断で人工肛門造設術を受けられた方のうち、150名を対象にします。
研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
 
4.研究の方法について
 この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。取得した情報を用いて、未熟児関連消化管機能障害児における外科的臨床経過を後方視的に検討し、初回人工肛門造設後の最適な腸管リハビリテーションプログラムの確立および至適人工肛門閉鎖時期を検討します。
 〔取得する情報〕
周産期情報(出生週数,出生体重,周産期病歴,母体情報,家族歴など)
手術情報(手術時年齢,体重,術中所見など)
検査結果(血液検査,画像検査,生理検査)
病理組織検査(切除腸管)
治療経過(経腸栄養,経静脈栄養,術後体重推移,術後早期合併症,術後晩期合併症)
発達発育状況
 
5.個人情報の取扱いについて
 研究対象者の検査結果、カルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院小児外学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院小児外学分野・教授・田尻 達郎の責任の下、厳重な管理を行います。
 ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
6.試料や情報の保管等について
〔情報について〕
この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院小児外学分野において同分野教授・田尻 達郎の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 
 また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
 
7.利益相反について 
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は部局等運営費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)
 
8.研究に関する情報の開示について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 
9.研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所 九州大学病院小児外科
九州大学大学院医学研究院 小児外科学分野
研究責任者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・教授 田尻 達郎
研究分担者 九州大学病院小児外科 助教 福田篤久
九州大学病院総合周産期母子医療センター・講師 永田 公二
九州大学大学院医学研究院共同研究部門・助教近藤 琢也
10.相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学病院小児外科 助教 福田篤久
連絡先:〔TEL〕092-642-5573
      〔FAX〕092-642-5580
メールアドレス:ped-surg@med.kyushu-u.ac.jp
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