臨床研究

小児に対する漢方治療の有効性の検討

1.観察研究について
 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院では、現在小児外科の患者さんを対象として、小児に対する漢方治療の有効性の検討に関する「観察研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2027年3月31日までです。九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院では、現在小児外科の患者さんを対象として、小児に対する漢方治療の有効性の検討に関する「観察研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2027年3月31日までです。
2.研究の目的や意義について 
 漢方薬は、方剤ごとに様々な症状や疾患、臓器を対象にして使用され、その有用性が報告されており、作用機序や効果・効能も徐々に解明されています。小児領域において、漢方薬処方の機会は比較的多く、有効性を実臨床で経験する機会も少なくありません。しかし、大人の使用実績に基づいて使用していることが多く、小児に対する処方量や有効性、効果・効能の報告は近年でも報告は少なく、その内容はさらに検討してく必要があります。今回、小児に対する漢方薬治療に関する使用実績を調査するとともに、方量や有効性、効果・効能の臨床的なエビデンス創出を行うための研究計画を立案しました。
【目的】
 本研究の第一の目的は、九州大学病院小児外科における、漢方薬使用の実態調査を行い、使用方剤の種類、処方内容を把握することとしました。第二に、実態調査の内容からさらに詳細なデータを抽出することで、漢方薬の有効性や効果・効能、適切な使用方法、処方量、副作用の有無を検討することを目的とします。
【検討するべき具体的課題】
九州大学小児外科における、小児に対する漢方処方の種類と処方数・量の把握。
小児における漢方薬の安全性の検討(副作用出現の有無の調査)
小児における漢方薬の有効性の検討(処方前と内服開始後の症状や血液検査所見の推移)
小児における適切な処方量の検討(年齢体重疾患別の処方量からみた有効性の検討)
【医学的・社会的意義】
 エビデンスに基づく医療が求められる現代の医療において、成人領域で示された有効性や効能・効果を小児で再検討する医学的意義は非常に高いと考えられます。
また、漢方治療の安全性や有効性、有用性を社会に発信して、医療者や患者および家族における理解を深めることで、漢方治療が新たな治療選択肢としての定着を促進することに繋がるという点において、非常に有意義です。
3.研究の対象者について
 九州大学病院小児外科・成育外・小腸移植外科において2012年1月1日から2022年3月31日までに、入院中または外来通院中に漢方薬治療(処方)を行った患者さん、1200名を対象にします。
 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
 
4.研究の方法について
 この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。得られたデータから、小児に対する当院での漢方治療の実態を把握するとともに、漢方薬の治療効果、副作用の有無を解明します。
〔取得する情報〕
 年齢、性別、身長、体重、原疾患、症状、方剤の処方開始・中止時期、方剤の種類、処方量(g/kg/day)、処方期間、併用処方の内容、自覚症状、血液検査結果(TP、Alb、T.bil/D.bil、AST/ALT、γGTP/ALP、BUN/Cre、AMY 、 Na/K/Cl、 P/Mg 、Hb、WBC、Neut、Lymp 、Plt、CRP)、画像所見(単純X線、CT、MRI)、副作用の有無、方剤中止の理由、患者転帰
 
5.個人情報の取扱いについて
 研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・教授・田尻達郎の責任の下、厳重な管理を行います。
 ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
 
6.試料や情報の保管等について
〔情報について〕
 この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野において同分野教授・田尻達郎の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
 
7.利益相反について 
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究では利益相反状態が存在しますが、観察研究実施計画は臨床研究に係る利益相反マネジメント委員会で審議され、利益相反状態が存在することによって、研究対象者に不利益が及ぶおそれはないと判断されました。
 利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
 利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)
 
8.研究に関する情報の開示について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 
9.研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所 九州大学病院小児外科
九州大学大学院医学研究院小児外科学分野
研究責任者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 教授 田尻達郎
研究分担者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 准教授 松浦俊治
九州大学大学院医学研究院 保健学部門  講師  宮田潤子
九州大学病院総合周産期母子医療センター 講師  永田公二
九州大学病院小児外科 助教 小幡聡
九州大学病院総合周産期母子医療センター 助教 川久保尚徳
九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 助教  柳佑典
九州大学病院小児外科 助教  福田篤久
九州大学大学院医学研究院難治性慢性消化器疾患共同研究部門 助教 近藤琢也
九州大学病院総合周産期母子医療センター 助教 助教 馬庭淳之介
九州大学大学院医学系学府小児外科学分野 大学院生 内田康之
九州大学大学院医学系学府小児外科学分野 大学院生 鳥井ケ原幸博
10.相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学大学院医学研究院難治性慢性消化器疾患共同研究部門
    助教 近藤琢也
連絡先:〔TEL〕092-642-5573
    〔FAX〕092-642-5580
メールアドレス:ped-surg@med.kyushu-u.ac.jp
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