臨床研究

小児救命救急センターにおける小児外科疾患の分析

1.観察研究について
 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院小児外科では、現在小児救命救急センターに入院され、かつ小児外科による診察が行われた患者さんを対象として、その発症から診療経過に関する「観察研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2024年3月31日までです。
2.研究の目的や意義について 
 当院の小児救命救急センター(当センター)には6床の小児集中治療室(PICU)が設置され、7名の小児科医と1名の小児外科医が専従し、24時間体制で救急車での直接搬送、転院搬送による重篤小児の受け入れを行っています。搬送患者の中には小児外科による介入が必要な事も多数あります。それは小児外科疾患が悪くなった場合や、もともと小児外科疾患をお持ちの場合、あるいは重篤な病態に対して外科的な介入が必要な場合など様々です。一方で、重篤な小児の治療は集約化が進んでおり、これは小児外科についても同様です。当院は重篤小児及び小児外科のいずれも診療可能な施設であり、重篤小児の外科的介入について数多くの診療を行ってきています。本研究においては、当センターにおける外科症例の搬送や外科的介入の必要性、タイミングについて後方視的に検討することで、搬送方法や搬送・介入のタイミングについて再検討を行い、患児の予後を更に改善することができないか検討します。本研究をおこなうことで、当センターにおける小児外科の介入をよりスムーズに行い、患者さんの予後の改善が期待できます。
3.研究の対象者について
 九州大学病院小児救命救急センター(ICU、救命ICU、ハイケア病棟)に2011年1月1日から2022年3月31日までの間に入院し、何らかの形で小児外科の受診を行った患者さん600名を対象にします。
 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
4.研究の方法について
 この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。
 〔取得する情報〕
・患者基本情報;受診時年齢(月齢あるいは日齢)、性別、原疾患、併存疾患、既往、アレルギーの有無、身長、体重、他院からの紹介の有無、当院への搬送手段、搬送距離、当センターへの入室理由
・当院初診時及び経過中における情報;各デバイス(気管内挿管、中心静脈カテーテル、観血的動脈圧測定ライン、透析用カテーテル)の有無、人工呼吸器の設定、バイタルサイン(頻拍、血圧、呼吸数、SpO2、体温)、CT検査所見、レントゲン検査所見、治療経過、合併症、転帰
・小児外科についての情報;小児外科疾患の有無、小児外科受診の有無、手術既往の有無、当院での手術の有無とその術式・手術記録、小児外科診療の経緯
5.個人情報の取扱いについて
 研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・教授・田尻達郎の責任の下、厳重な管理を行います。
 ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
6.試料や情報の保管等について
〔情報について〕
 この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野において同分野教授・田尻達郎の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
 
 
7.利益相反について 
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は部局等運営費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
 利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
 利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)
 
8.研究に関する情報の開示について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 
9.研究の実施体制について
研究実施場所 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野
九州大学病院小児外科、小児救命救急センター
研究責任者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 教授 田尻 達郎
研究分担者 九州大学病院 救命救急センター 助教 河野 淳
九州大学医学研究院小児外科学分野 鳥井ヶ原幸博
九州大学大学院医学研究院共同研究部門 助教 近藤 琢也
九州大学病院 救命救急センター 助教 賀来典之
10.相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学病院救命救急センター 助教 河野 淳
連絡先:〔TEL〕092-642-5573
      〔FAX〕092-642-5580
メールアドレス:ped-surg@med.kyushu-u.ac.jp
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