臨床研究

多施設共同研究「膵・胆管合流異常症登録症例の集積及び追跡調査」

1.観察研究について
 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院では、現在膵・胆管合流異常症の患者さんを対象として、多施設共同研究「膵・胆管合流異常症登録症例の集積及び追跡調査」に関する「観察研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2023年12月31日までです。
2.研究の目的や意義について 
 膵・胆管合流異常は、解剖学的に膵管と胆管が十二指腸壁外で合流する先天性の形成異常(奇形)です。
 正常の十二指腸乳頭部では、十二指腸乳頭部括約筋(Oddi括約筋)が胆管末端部から膵胆管合流部を取り囲み、胆汁の流れを調節する一方、膵液の胆管への逆流を防止しています。膵・胆管合流異常では、膵管と胆管が合流した共通管が長く、括約筋作用が膵胆管合流部に及ばないために、膵液と胆汁が相互に逆流します。膵液の胆道内への逆流(膵液胆道逆流現象)は高率に胆道癌を発生させると報告されています。
 しかし、本疾患は稀な疾患であるため不明な点が多く、未だに各施設で治療方針が統一されていないのが現状であります。したがって、早急に、この疾患の正確な病態把握と適切な治療法を確立する必要があります。そこでこの疾患の全国調査を行い、症例登録し、統計解析する研究を計画しました。これらの疫学研究を通して膵・胆管合流異常の病態解明、さらには病態に基づく治療法の確立、胆道癌の発生率、予後調査などへの展開が期待されます。
3.研究の対象者について
 九州大学病院において1990年1月1日から研究許可日までに膵・胆管合流異常症と診断された方約100人を対象とさせていただく予定です。
 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
4.研究の方法について
この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。
〔取得する情報〕
年齢、性別、臨床症状、手術術式、合併症の有無、胆管の形態異常
の有無(拡張、狭窄)、膵管の形態異常の有無、合流異常の型、共通管の長さ、胆石および
胆管・胆嚢癌合併の有無
 
 徳島大学に取得した情報をファイル共有システム等を利用して送付し、徳島大学で解析を行い、成人・小児における本疾患の病態について明らかにします。
 他機関への試料・情報の送付を希望されない場合は、送付を停止いたしますので、ご連絡ください。
 
5.個人情報の取扱いについて
 研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・教授・田尻達郎の責任の下、厳重な管理を行います。
 ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
 研究対象者のカルテの情報を徳島大学へ送付する際には、九州大学にて上記の処理をした後に行いますので、研究対象者を特定できる情報が外部に送られることはありません。
 
6.試料や情報の保管等について
〔情報について〕
 この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野において同分野教授・田尻達郎の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
7.利益相反について 
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は部局等運営費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
 利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
 利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)
 
8.研究に関する情報の開示について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 
9.研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所 九州大学病院
九州大学大学院医学研究院小児外科学分野
研究責任者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 准教授 松浦俊治
研究分担者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 教授 田尻達郎
九州大学病院小児外科・助教・河野雄紀
九州大学病院小児外科・学術研究員・梶原啓資
九州大学大学院医学系学府小児外科学分野 大学院生 内田康幸
九州大学病院救命救急センター・助教 鳥井ケ原幸博
共同研究機関等 機関名 / 研究責任者の職・氏名 役割
①徳島大学病院 消化器・移植外科・科長/島田 光生
②日本膵・胆管合流異常研究会に所属・登録された施設
①研究統括・データ管理・記録保管・情報の収集
②情報提供
 
 
10.相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 准教授 松浦俊治
連絡先:〔TEL〕092-642-5573
      〔FAX〕092-642-5580
メールアドレス:ped-surg@med.kyushu-u.ac.jp
 
 
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