臨床研究

小児再発性鼠径ヘルニアに対する術式に関する研究 :多施設共同後方視的研究

1.観察研究について
 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院小児外科では、現在小児再発性鼠径ヘルニアの患者さんを対象として、小児再発性鼠径ヘルニアに対する術式に関する「観察研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2025年3月31日までです。
2.研究の目的や意義について 
 小児鼠径ヘルニアの再発率は1%未満と稀であり、再発性鼠径ヘルニアに対する手術方法に一定の見解はありません。鼠径ヘルニアに対する術式は、鼠径部切開法(以下従来法)と腹腔鏡下手術に大別されます。腹腔鏡下手術では、嵩原らによって報告されたLaparoscopic percutaneous extraperitoneal closure (腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術)(以下LPEC法)が広く用いられており、いくつかの報告では再発性鼠径ヘルニアに対しても有効であるとされています。本研究では、多施設共同研究により、再発性鼠径ヘルニアに対する従来法およびLPEC法の有効性を検討します。
 再発性鼠径ヘルニアに対するLPEC法に関する報告は単施設からの14例が最大です。本研究では、多施設共同研究によりさらに多くの症例について治療成績を明らかにし、また従来法との比較を行う予定です。
3.研究の対象者について
 九州大学病院小児外科において2012年1月1日から2021年12月31日までに再発性鼠径ヘルニアに対して手術を受けた患者さん6名を対象にします。
 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
4.研究の方法について
 この研究を行う際は、カルテより以下の情報を取得します。取得した情報を基に、再発性鼠径ヘルニアに対する従来法およびLPEC法の有効性を検討します。
 
 〔取得する情報〕
年齢、性別、体重、既往歴、初回手術の術式、再発手術までの期間、再発手術の術式、手術時間、合併症、再々発の有無、再々発までの期間年齢
 
 取得した情報を匿名化し、ファイル共有システム等を利用して、愛媛県立中央病院へ送付し、解析を行います。
 他機関への情報の送付を希望されない場合は、送付を停止いたしますので、ご連絡ください。
5.個人情報の取扱いについて
 研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・教授・田尻達郎の責任の下、厳重な管理を行います。
 ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
 
 研究対象者のカルテの情報を愛媛県立中央病院へ送付する際には、九州大学にて上記の処理をした後に行いますので、研究対象者を特定できる情報が外部に送られることはありません。
6.試料や情報の保管等について
〔情報について〕
 この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野内において同分野教授・田尻達郎の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
7.利益相反について 
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は部局等運営費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
 利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)
 
8.研究に関する情報の開示について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 
9.研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所 九州大学病院小児外科・成育外科・小腸移植外科
九州大学大学院医学研究院小児外科学分野
愛媛県立中央病院小児外科
研究責任者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・教授 田尻達郎
研究分担者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 助教 川久保尚徳
九州大学病院小児外科 助教 福田篤久
 
共同研究機関等 機関名 / 研究責任者の職・氏名 役割
①愛媛県立中央病院小児外科/医長・宮嵜 航 
 ②独立行政法人 地域医療機能推進機構 九州病院/副院長・上村哲郎
③北九州市立医療センター小児外科/主任部長・中村晶俊
④福岡大学病院総合周産期母子センター/准教授・廣瀬 龍一郎
⑤福岡市立こども病院小児外科/科長・林田真
⑥大分県立病院小児外科/部長・伊崎智子
⑦県立宮崎病院小児外科/医長・三好きな
⑧国立病院機構九州医療センター小児外科/医長・甲斐裕樹
⑨佐賀県医療センター好生館小児外科/部長・山内健
⑩麻生飯塚病院小児外科/部長・竜田恭介
⑪松山赤十字病院小児外科/非常勤医師・野口伸一
⑫佐賀大学医学部附属病院小児科/講師(診療准教授)・山田 耕治
①:情報の提供、情報の収集・解析
②~⑫:情報の提供
10.相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 助教 川久保尚徳
連絡先:〔TEL〕092-642-5573
      〔FAX〕092-642-5580
メールアドレス:ped-surg@med.kyushu-u.ac.jp
 
 
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