臨床研究

外科的治療を要する小児肝疾患の臨床的特徴に関する観察研究   

臨床研究について
 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院小児外科では、現在、外科的治療を要する小児肝疾患の患者さんを対象として、症状、発症年齢、性別、診断名と術式、術後合併症、肝移植施行の有無、生命予後、術前術後の血液検査や画像検査の結果などの臨床的特徴を明らかにする「臨床研究」を行っています。 
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、令和8年3月31日までです。
 
研究の目的や意義について
 手術を要する小児の肝疾患には、胆道閉鎖症、肝腫瘍(肝芽腫や肝細胞癌)アラジール症候群、先天性門脈欠損症、先天性代謝性疾患(OTC欠損症や糖原病)、自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎や原発性硬化性胆管炎)、劇症肝炎など様々ありますが、胆道閉鎖症が最も多いとされています。胆道閉鎖症は新生児期・乳児期早期にかけて胆汁の通り道である胆管が狭窄、閉塞し、黄疸や灰白色便が出現する病気です。放置すると胆汁鬱滞性肝硬変へ進行し、死に至る予後不良な小児肝疾患です。世界的にみても、唯一の治療法は手術療法であり、肝門部腸吻合術(葛西手術)という方法が一般的な術式です。術後の黄疸消失率は手術日齢と関連があると言われ、早期発見ならびに早期治療が必要です。
 肝臓に発生する悪性腫瘍のなかで最も高頻度に見られる疾患は肝芽腫という腫瘍であり、小児癌全体の約1%を占めると推定されています。肝芽腫は化学療法が有効な腫瘍であるため、外科的に切除可能であれば術前と術後に化学療法を行うことで5年生存率は80%以上に達します。
 一方で、肝移植を必要とする症例も認めます。胆道閉鎖症では、葛西手術後に黄疸が消失しない症例、胆管炎を繰り返す症例、門脈圧亢進症を呈する症例(胃食道静脈瘤、肝肺症候群、門脈肺高血圧症)で肝移植の適応となり、肝芽腫においても切除不能な症例では移植の適応となります。アラジール症候群、先天性代謝性疾患、自己免疫性肝疾患は、まずは小児科で食事による治療や内服治療などの内科的治療を行い、それでも肝臓の機能が悪くなるような場合には肝移植の適応となります。
 上記の様に、肝移植を必要とする症例も多数あり、疾患別の術前術後の臨床像や血液検査結果、自己肝生存率や生体肝移植の手術時期など当院で評価されていない項目も多く存在しています。
 そこで、今回九州大学小児外科で外科的治療を必要とした小児肝疾患の患者を対象に疾患名、性別、年齢、術式、術後早期合併症と晩期合併症、血液検査結果、感染症検査結果、免疫検査結果、生化学検査結果、画像検査結果、病理学的結果(顕微鏡での検査結果)、自己肝生存の有無(自分の肝臓が機能するかどうか)、肝移植の有無と手術時期、予後について診療情報と既存試料を収集し、小児肝疾患の術前術後の臨床的特徴を明らかにしようと考えました。
研究の対象者について
 九州大学病院小児外科において平成元年1月1日から令和3年3月31日までに外科的治療を要した小児肝疾患の患者、約180名を対象にします。
研究の対象者となることを希望されない方やその保護者の方は、下記連絡先までご連絡ください。
研究の方法について
 この研究を行う際は、カルテより下記の情報を取得します。また試料として、診療時に取得していた残試料を使用し情報を取得します。疾患別の性別、年齢、術式、手術時期、予後や、術前術後の血液検査などの結果をもとに、外科的治療を必要とした小児肝疾患を臨床的に評価します。
 
 〔取得する情報〕
 疾患名、性別、年齢、病型、術式、術後早期合併症と晩期合併症、病理学的結果、
自己肝生存率、肝移植の有無と時期、予後
血液検査結果(WBC, RBC, Hb, PLT, TP, Alb, T-Bil, D-Bil, AST, ALT, ALP ,γGTP, ChE, BUN, Cr, CRP, ヒアルロン酸, TBA, NH3, BNP, PT, PT-INR, APTT, AFP, PIVKAⅡ, M2BPGi, 血液ガス, アミノ酸分析)
感染症検査結果(細菌およびウイルス)
免疫検査結果(血液型、HLA検査、フローサイトメトリー)
生化学検査結果(尿、胆汁、胸水、腹水)
画像検査結果(Xp、透視;血管・消化管、CT、MRI、胆道シンチ)
 
〔取得する試料〕
残試料:血液、胆汁、尿(各1ml)
個人情報の取扱いについて
 あなたのカルテの情報をこの研究に使用する際には、あなたのお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。あなたと研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、あなたが特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した個人情報は、九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野 
教授 加藤聖子の責任の下、厳重な管理を行います。
試料や情報の保管等について
 この研究において得られたあなたの試料やカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野 教授 加藤聖子の責任の下、試料は5年間保存した後、医療廃棄物として破棄し、情報は10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 また、この研究で得られたあなたの試料や情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
利益相反について
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は部局等運営費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)
研究に関する情報や個人情報の開示について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 また、ご本人からの開示の求めに応じて、保有する個人情報のうちその本人に関するものについて開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
研究の実施体制について 
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所(分野名等) 九州大学病院小児外科
九州大学大学院医学研究院小児外科分野
研究責任者 九州大学病院総合周産期母子医療センター・准教授・松浦俊治
研究分担者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・講師・吉丸耕一朗
九州大学大学院医学系学府小児外科分野・大学院生・河野雄紀
九州大学大学院医学系学府小児外科分野・大学院生・鳥井ケ原幸博
九州大学大学院医学系学府小児外科分野・大学院生・梶原啓資
九州大学大学院医学系学府小児外科分野・大学院生・白井剛
九州大学大学院医学系学府小児外科分野・大学院生・内田康幸
九州大学大学院医学研究院形態機能病理学分野 教授 小田義直
九州大学大学院医学研究院形態機能病理学分野 准教授 孝橋賢一
相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学大学院医学研究院小児外科学分野
講師・吉丸耕一朗
連絡先:〔TEL〕092-642-5573(内線5573)
    〔FAX〕092-642-5580
メールアドレス:ped-surg@pedsurg.med.kyushu-u.ac.jp
 
 
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