小児漢方

小児漢方グループは、2015年に小児漢方外来を開設し、日本東洋医学会漢方専門医を中心に九州大学病院小児医療センター内で漢方診療を行っているグループです。小児外科疾患を中心に、小児科疾患および児童精神疾患で漢方治療を必要とする方を対象に、当科・他科医師と連携して、西洋医学と並行して診療を行っています。その他の領域の疾患であっても、西洋医学的治療で症状が改善しきれないため、漢方治療を希望される小児患者を広く対象としております。

漢方医学について

漢方は中国の伝統医学を遣隋使が日本に持ち帰って以降、日本で独自に発展してきた伝統医学です。
西洋医学は、マクロからミクロに細分化していき、病気や症状の原因を突き止めて治療を施すものが中心です。一方、漢方医学では、からだ全体を診て治すという考え方をします。からだのバランスを整え、体質を改善することで、関連した複数の症状を総合的に治していくというものが漢方治療です。

漢方薬は数百種類もの生薬から数種類ずつを組み合わせて作られています。構成生薬の含有量の微調整により効果も変化します。西洋医学では疾患や症状に対して薬剤を処方しますが、漢方医学では、細かい問診や、腹診、舌診、脈診等により、「陰陽」「虚実」「気血水」という東洋医学独特の概念に基づいて病態を判断して処方する薬を決めます。

小児漢方外来での治療

小児外科疾患である鎖肛やヒルシュスプルング病など、手術を行った後、排便機能が思わしくなく、便秘や下痢の状態が続くことがあります。この場合、緩下剤や止痢剤等の西洋薬で管理しても症状が改善しきれずQOL(quality of life)が損なわれる場合、東洋医学的治療である漢方治療を併用することがあります。
臓器移植後や悪性腫瘍、自己免疫疾患の方では、長期間にわたって西洋薬による治療が継続されますが、それに伴う副作用や長い闘病生活による体質の変化から出現する様々な不調を整えるために漢方治療を併用して、闘病生活のサポートを行います。
アトピー性皮膚炎や気管支喘息等に対しても、皮膚科や小児科の先生にご処方いただいた西洋薬と併用しながら、体質改善のために漢方診療を併用することも行っています。

その他に当外来で漢方を使用している疾患としては、以下のようなものがあります。

  • 便秘
  • 乳児肛門周囲膿瘍
  • リンパ管腫
  • 夜尿症
  • 月経困難症(月経痛、いらいら等)等

症状の改善を目的として行われる漢方治療の対象となるものには、以下のようなものがあります。

  • 発達障害等に伴う諸症状
  • 重症心身障害児(者)の諸症状
  • 夜泣き
  • 虚弱
  • 冷え
  • 食欲不振
  • 睡眠障害
  • めまい
  • 動悸
  • 不登校
  • その他、西洋医学的検査で異常がない場合や、西洋医学的治療で効果が不充分な場合

受診するには

お一人お一人に時間をかけて診療を行っていますので、完全予約制で診療を行っています。初診時は、小児医療センター(092-642-5578)にご連絡のうえ、予約をお取りいただければどなたでも受診していただけます。初診時は問診から診察、診断まで時間を要しますので、時間に余裕を持ってお越しいただく必要があります。他の病院にて治療中であれば、他に服用中の薬や治療内容の確認が必要ですので、紹介状をご持参いただくようお願いいたします。初診後は4~5週間に1回の頻度での通院が必要となります。

診療受付時間

  • 24H

    小児外科は
    24時間急患対応可能です。

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