臨床研究

腹壁破裂・臍帯ヘルニアの治療とその予後に関する研究

1.観察研究について
 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院小児外科では、現在腹壁破裂・臍帯ヘルニアの患者さんを対象として、手術方法による術後経過の違いを把握し、最適な手術方法について検討する「観察研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2028331までです。
2.研究の目的や意義について
 腹壁破裂や臍帯ヘルニア(以下本症)は本邦における年間の発症数は200例に満たない希少な疾患です。その生存率はこの20年で急速に改善し、現在90%以上となっています。この生存率の改善の背景には医療機器の進歩もさることながら、手術方法の変化に伴うものも大きいと思われます。本症に対する手術は当初お腹の外にでている臓器を全て1回の手術でお腹のなかに入れ込み、お腹を縫って閉鎖する手術が行われていましたが、お腹の中の圧の上昇に伴う血流障害や臓器障害、また呼吸状態の悪化を引き起こしていました。その後、2回にわけて手術を行う方法や、お腹を縫わずに閉鎖する方法が普及し、合併症が低下し、生命予後も改善しました。
 今回の研究の目的は、九州大学病院小児外科における本症の治療実態を把握し、短期的及び長期的な治療成績や合併症を明らかにすることです。更に手術方法の変遷に伴う経過や予後の比較を行い、最適な治療方法を検討します。
3.研究の対象者について
 九州大学病院小児外科において1996年1月1日から2023331までに腹壁破裂あるいは臍帯ヘルニアの診断で手術をうけられた約60名を対象にします。
 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
4.研究の方法について
 1996年1月1日から2023331までに腹壁破裂あるいは臍帯ヘルニアの診断で手術をうけられた方を対象として、以下のデータをカルテから収集します。調査項目各々あるいはその組み合わせによる最適な治療方針の検討と、合併症や術後経過への影響について調査します。
 
 〔取得する情報〕
出生時の在胎週数、出生体重・身長、性別、Apgar score、合併奇形・並存症、気管内相関の気管、術式、手術時日齢、抜管時日齢、挿管中の鎮静方法、静脈栄養・経管栄養開始時日齢、静脈閉塞・経管栄養離脱時日齢、血液検査結果(TP, Alb, AST, ALT, Tbil, Dbil, ALP, GGTP, BUN, Cre, Hb, WBC, Neut, Plt, CRP, pH, pCO2, pO2, HCO3, BE, Lac, )転帰、退院時日齢・体重・身長、創瘢痕の状態、在宅医療支援の有無・内容、再入院歴、再入院理由、術後合併症、運動・精神発達の程度
 
5.個人情報の取扱いについて 
 研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・教授・田尻達郎の責任の下、厳重な管理を行います。
 ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
6.試料や情報の保管等について
〔情報について〕
 この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野において同分野教授・田尻達郎の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
 また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
7.利益相反について 
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は部局等運営費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
 利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
 利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)
 
 
8.研究に関する情報の開示について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
9.研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所 九州大学病院小児外科
九州大学大学院医学研究院小児外科学分野
研究責任者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野 教授 田尻達郎
研究分担者 九州大学病院総合周産期母子医療センター・講師   永田公二
九州大学病院小児外科          ・助教   福田篤久
九州大学大学院医学研究院共同研究部門  ・助教   近藤琢也
10.相談窓口について 
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
 
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学病院小児外科 助教 福田篤久
連絡先:〔TEL〕092-642-5573
      〔FAX〕092-642-5580
メールアドレス:ped-surg@pedsurg.med.kyushu-u.ac.jp
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