臨床研究

小児膵腫瘍に関する全国アンケート調査に関する研究

1.観察研究について
 九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。患者さんの生活習慣や検査結果、疾病への治療の効果などの情報を集め、これを詳しく調べて医療の改善につながる新たな知見を発見する研究を「観察研究」といいます。その一つとして、九州大学病院小児外科では、現在膵腫瘍の患者さんを対象として、小児膵腫瘍に関する全国アンケート調査に関する研究に関する「観察研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2027年12月31日までです。
2.研究の目的や意義について 
 <研究の背景>
 小児膵腫瘍は非常にまれであり本邦における臨床像をまとめた報告はほとんどありません。膵の新生物は小児がんの 0 .1 %以下と報告されています。疾患の希少性から各施設での経験症例は多くないため、これまでまとまった報告がされていないのが現状です。
<研究の意義>
 小児膵腫瘍の本邦における臨床像をまとめることで、疾患頻度、治療方法、治療成績、予後を把握することができます。また各施設で統一されていない治療方法、フォローアップの方法を検討することができようになります。
<研究の目的>
 全国の膵腫瘍の臨床像、治療法、予後の現状を把握する事を目的とします。
<研究の科学的合理性の根拠>
 米国のNational Cancer Institute の Surveillance, Epidemiology, and EndResults(SEER) database を用いた思春期・若年成人世代を一部含む19 歳以下の膵腫瘍 114 例に関する報告では、膵内分泌腫瘍 35 %、上皮性癌 25.5 %、膵芽腫1 5.8 Solid pseudopapillary tumor 14 %という結果が報告されています。一方で,本邦での全国規模のデータは報告されていません。
 
3.研究の対象者について
 九州大学病院小児外科において2000 年 1 月 1 日から 2021 年 12 月 31 日の期間に膵腫瘍に対して手術を施行した症例 (0 歳から 18 歳未満)10名 を対象にします。研究全体では250 名を予定しています。
 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。
 
4.研究の方法について
 この研究を行う際は、本症症例に対するアンケート調査のために、カルテより以下の情報を取得し、症例の概要、手術項目、予後について評価します。
 〔取得する情報〕
症例の概要:年齢,性別,
腫瘍の病理診断 ,病変部位,腫瘍径,局在
診断契機,化学療法
手術項目:術式
予後:生存の有無,再発の有無,再発部位,再発治療,最終転帰確認日
 
アンケート調査用紙を名古屋大学小児外科へ郵送してデータ管理・集計を行います。
他機関への試料・情報の送付を希望されない場合は、送付を停止いたしますので、ご連絡ください。
5.個人情報の取扱いについて
 研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・教授・田尻達郎の責任の下、厳重な管理を行います。
 ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。
 研究対象者のアンケート調査用紙を名古屋大学小児外科へ郵送する際には、九州大学にて上記の処理をした後に行いますので、研究対象者を特定できる情報が外部に送られることはありません。
 
6.試料や情報の保管等について
〔情報について〕
この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院小児外科学分野において同分野・教授・田尻達郎の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

 また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。
7.利益相反について 
 九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は部局等運営費であり、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。
利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学病院ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)
8.研究に関する情報の開示について
 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 
9.研究の実施体制について
この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所 九州大学病院小児外科
九州大学大学院医学研究院小児外科学分野
研究責任者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・教授・田尻 達郎
研究分担者 九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・助教・川久保 尚徳
共同研究機関等 機関名 / 研究責任者の職・氏名 役割
①名古屋大学医学部附属病院小児外科・病院助教・牧田智
②研究協力施設:日本小児外科学会認定施設および教育関連 施設 A ・ B約190 施設(アンケート送付先)(既存情報の提供のみを行う機関
①研究統括・解析
②情報の収集
 
 
10.相談窓口について
この研究に関してご質問や相談等ある場合は、下記担当者までご連絡ください。
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・助教・川久保 尚徳
連絡先:〔TEL〕092-642-5573
      〔FAX〕092-642-5580
メールアドレス:ped-surg@med.kyushu-u.ac.jp
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