診療グループ Research group
消化管機能
頑固な便秘を呈する疾患としてHirschsprung病という疾患があります。 この疾患はデンマークのコペンハーゲン大学小児科教授であったHarold Hirschsprungが1886年にベルリン小児科学会で「結腸の拡張肥大に起因する新生児便秘症」として発表したのを始まりとして、世界中に知られるようになりました。
日本でも1905年に第1例目が報告されました。以後その原因、治療法について研究がさかんになり、Hirschsprung病の原因は、消化管運動を司る神経節細胞の欠損であることが判明し、無神経節腸管の切除がその治療法であるというのが現在の状況です。
手術法に関しても様々な術式が検討され、Z型吻合法に用いられる池田式陽圧挫鉗子は当科の池田恵一名誉教授が造られた鉗子です。 以前は開腹が必要な症例も多く、腹部に大きな手術痕が残っていましたが、現在では腹腔鏡補助下での手術が主流となっているため、低侵襲で手術がおこなえるようになってきています。
疾患の遺伝的バックグラウンドは徐々に解明されてきてはいますが、単一遺伝子疾患ではなく、多因子が関係していると考えられてきており、全症例の75%程度を占める病変がS状結腸までのshort segment typeについては、まだまだわからないことが多くあります。またヒルシュスプルング病の患児ではHirschsprung病関連腸炎(Hirschsprung-associated Enterocolotis)といって重症な腸炎にかかりやすいことが知られており、致命的になることがありますがその原因についてもまだはっきりしません。
当科においてはHirschsprung病の腸管に関する研究がおこなわれてきており、Hirschsprung病モデルラット(EDNRB遺伝子欠損ラット)の無神経節腸管を材料とし、生理学的および分子生物学的手法を用いて、Hirschsprung病における平滑筋細胞内情報伝達機構などを解明してきました。
現在は、脱落乳歯由来の歯髄幹細胞を用いた今後の新規治療法の開発、疾患重症度と遺伝的関連の検索などを九州大学歯学部との共同研究をすすめていく予定です。
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